東京のすし屋の娘でもある、江戸前寿司伝道師Satomiです。

「職人でない奴が口を出すな!」と言われるかもしれませんが、寿司屋の娘として生まれ育ち、寿司職人は技術だけでなく、もてなす能力も必要だなと思います。

最近、海外を目指す寿司職人の学校をよく見かけるなと思ったので、日本文化や言語といった点から、「海外でも通用する寿司職人になりたかったら、美意識を磨け~良い職人の見つけ方~」を紹介しようと思います。

はじめに

日本を代表する美意識から生まれた「もてなし」のお話とどのように磨いていくか、そしてそれがなぜ技術に結びつくのかを中心に話そうと思います。

和食が無形文化遺産へ登録できた理由は、「食材・調理法・食器・食べ方などにまつわる文化」のうち、特に「食べ方などにまつわる文化」をキーワードにしたからだそうです。

「もてなし」とは、主人と客が相互にはたらきかけることで成り立つ。つまり、両者が共に満足する状態でなければならない。食事の作法や礼儀、食事をする場所の装飾などにも「もてなし」の精神は現れる。その際も、一方通行では、「もてなし」の精神とはなりません。装飾を見る客の側の態度も重要です。日本食を代表する「すし」は、この「もてなし」も含めた食べ物です。

海外から見た日本人らしさと「もてなし」

世界に誇れる33のこと(著者:ルースジャーマン白石)

『もてなしには、特殊な能力、つまり、もてなす側が、そのもてなしを受ける側の喜びを感じ取り、満足を感じられる、という感性が必要。アンケートなどでの情報収集で得る、直接評価ではなく、「お客さまの幸せな笑顔」や「お客さまの笑い声」などの精神的な評価を汲み取らないと、なかなか到達できない、精神的な能力だ。そして、最近は、形式的に海外のマニュアルを取り入れたホスピタリティーの重視に日本も変わってきている気がするが、それよりも日本的な「もてなしの心」を大切にすることが、日本人にとっては大事なのではないかと思う』

「おもてなし」とは

「おもてなし」は日本で生まれた特有の概念であり、まごころといった精神性や感性を重んじて裏表のない心で接客することを指します。

「おもてなし」というのは、する側も受ける側も想い敬うことで、互いに心地良い時を過ごそうと心を尽くすものです。

また、日本ならではの感性を生かし、五感と心に感動を与えようとすることが最大の特徴。この人、この時、この場のためだけに接客を行うという姿勢が大切になります。

受ける側もまた対等であるからこそ、その待遇に感謝し敬うことでより良い時間を過ごせるのです。

もてなしをするためには、いくつかありますが、今回は3点紹介したいと思います。

・人を見る目を養う

・感性を磨き、心を豊かにする

・海外の方を対応するためには、日本文化を説明できることはもちろん、日本のことをよく知り、日本の良さを活かしたグローバル対応をすることが大切でしょう。 

①人を見る目を養う

おもてなしをするためにも大切だと思いますが、職人さんは技術的にも見る目を養うことも大切かと思います。

例:仕入れ。仕込み。アニサキスなどの処理もありますよね?

見る目を養う方法として、掃除が1つの方法かもしれません。

武士の美学として「清潔さ」「綺麗さ」という言葉をあげることができると思いますが、丹精で清潔な美しさを好見ます。そして、それは強さと結びついているようで、軍隊も掃除ばかりだそうです。武士が端正、清潔を好むというのは、隅々まで神経を行き届かせることと同義なようです。

また、『天皇の料理番』というドラマの中で、料理人になりたい主人公は、掃除や洗い物ばかりさせられ、嫌になっていました。その時に、料理長が言ったことは、料理は「まごころ」だということ。洗い物を徹底的にする大切さを語っていました。

洗い物をすることで、真心と清潔の意識、見る目を養うのかもしれません。

また、ある言語学者は「言葉をおろそかにすると見ることがダメになる。」

「ものをよく見て考えて、事実・真実に対して謙虚に理論的に見抜く習慣を養わないとダメで、日本人はこれからの世界を生きていけない」と言っていました。

見ることができている職人さんは、作り方なども理論的に言葉にして説明できるのではないでしょうか。

寿司職人は、作るだけでなく、カウンター越しにお客さまの対応もします。

見る目を養うことは、技術を習得するだけでなく、まごころといった精神性、一人ひとりに合ったおもてなしの対応をするためにも大切なことなのではないでしょうか。

②感性を磨き、心を豊かにする

文化は、人々に楽しさや感動、精神的な安らぎや生きる喜びをもたらし、人生を豊かにするものであり、豊かな人間性を涵養(かんよう) する上で重要です。また、正義感や公正さを重んじる心や、他人を思いやる心などは文化を大切にする環境の中で培われます。

感性を磨くことで、心が豊かになります。

感性を養うと、小さなことに感動できるようになるため、心が豊かになるだけでなく、些細な表情の変化や雰囲気から、人の裏の心情を読み取れるようになります。 

周囲の人が何を考えているのか何となくわかるようになるので、精神的にも豊かになり、優しい気持ちや思いやりが育まれるのです。

日本には、五感で楽しめる文化があります。

視覚 …変体仮名・日本建築・日本庭園 etc. 

聴覚 …雅楽 

触覚 …茶の湯・絵巻物 

味覚 …茶の湯 

嗅覚 …聞香遊び〔香道〕

また、和食には、自然の美しさや季節の移ろいの表現もありますよね。

春なら、華やかなイメージを

夏なら、涼しげで青々したイメージを

秋なら、色とりどりな明るいイメージを

冬なら、温かみのあるイメージを。

季節によって、登場してくる料理もありますよね。

先人たちは、ほんの少しのことでも季節を表現し、 料理に文化を求めていたのではないでしょうか。

最近は、養殖が増えたこともあり、四季も変わりつつありますが、日本には食事一つとっても感性を磨けますよね。以前よりも難しいかもしれませんが、四季を感じる、文化を学ぶなどで感性を磨き、おもてなしにつなげられると良いですね。

③日本の良さを活かした対応

海外の方を対応するためには、日本文化を説明できることはもちろん、日本のことをよく知り、日本の良さを活かしたグローバル対応をすることが大切でしょう。

美意識の一つ、「伝統・文化」。

日本にいるだけでは、日本の良さに気がつかなかったり、日本文化を説明できないことに気がついていない人を見かけます。そういう人は、「日本文化なんて日本人ならわかるでしょ」という傾向にありますが、実際、説明できていません。

説明できないということは、きちんと理解していないこと。

「おもてなし」は寿司を作る上でも、対応をする上でも大切なものになるでしょう。

もし海外の方を相手にする場合、合わせてばかりの対応ではなく、日本の良さを活かした対応をすることが、日本の体験をできたということで喜んでくれると思います。

また、「おもてなしは相手が感動する対応」です。合わせてばかりの対応は、相手が日本の文化を知らなければ、感動する対応にはなりません。おもてなしは、一人一人を見て対応を変えること。日本の良さを活かした対応をできるようになるためにも、見る目を養い、相手をよくみて対応することが大切でしょう。

Youtube

参照:『日本・日本語・日本人』(大野晋・森本哲郎・鈴木孝夫 著)

『すしから見る日本 日本全国さまざまなすし』(川澄健 監修)

『現代すし学』 (大川智彦 著)

『世界遺産になった食文化8 日本人の伝統的な食文化 和食』(服部津貴子 監修)

『本当の武士道とは何か』

五感で楽しむ日本の伝統文化 感性を磨く方法

まとめ

大切だと思うことの、ほんの一部ですが、以上3点が、私が「美意識を磨け!」と言った理由です。

皆さんは、どういった点が大切だと思いますか?理由とともにコメントください!

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