こんにちは。
海外帰りの寿司屋の娘、Satomiです。
私は現在、「すしを入り口に、日本文化を自分の言葉で伝え、伝統を活かしながら発展させていける人を育てる」
というコンセプトのもと、出張講座やセミナー、監修などの活動を行っています。
私の講座は、すしの作り方を教えるものではありません。
すしという世界共通のテーマを通して、その背景にある日本の美意識や精神性、考え方をひも解き、それを「自分の言葉」で語れるようになることを大切にしています。
最近はコース提供の寿司店も増えました。
しかし、江戸前寿司では今も「おまかせ」や「お好み」という注文方法が残っています。
そもそも、なぜ私たちは「何が出るかわからない」のに安心できるのでしょうか。
本来なら、不安なはずです。
ここには、日本文化特有の構造があります。
① 高コンテクスト社会という土台
文化人類学者の エドワード・T・ホール は、
日本を「高コンテクスト文化」と分類しました。
言葉にしなくても前提を共有する社会。
「何が出ますか?」よりも
「あなたを信頼します」が成立しやすい土壌があるのです。
② 不確実性回避が高い社会
社会学者 ヘールト・ホフステード の文化次元理論では、
日本は「不確実性回避が高い国」とされています。
・曖昧さを避ける
・専門家を信頼する
・型を重んじる
・前例を大切にする
つまり本来、日本人は「わからない状態」が苦手。
それでも「おまかせ」が成立するのはなぜか。
③ 修行と“型”が不安を安心に変える
日本には「守破離」という思想があります。
型を身体に叩き込み、
安定した技を生み、
人格を磨く。
修行を積んだすし職人の判断は、
偶然ではなく積み重ねの結果です。
だからこそ
“不確実”は
“信頼できるお任せ”へと変わるのです。
④ ソーシャルキャピタルという視点
政治学者 ロバート・パットナム は、
社会に信頼が蓄積されると「取引コストが下がる」と述べました。
本来、おまかせはリスクが高い行為です。
しかし日本では
・評判が命
・長期関係を重んじる
・裏切らない前提
がある。
だから成立する。
まとめ
寿司屋は、単なる飲食店ではありません。
そこには、信頼、修行、型、人格という、日本文化の凝縮された構造があります。
だからこそ、私たちは「任せる」ことができるのです。
あなたは寿司店で「おまかせ派」ですか?それとも「お好み派」ですか?理由もぜひ教えてください。
参考・引用
- 『沈黙のことば』(原題:Beyond Culture)
- 『かくれた次元』(原題:The Hidden Dimension)
- 『多文化世界』(原題:Cultures and Organizations)
- 『Making Democracy Work』
- 『Bowling Alone』
- 世阿弥『風姿花伝』
- Beyond Culture
- Geert Hofstede — Culture’s Consequences
- 不確実性回避とは?
- Bowling Alone
- Robert D. Putnam — Making Democracy Work
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