こんにちは!
すし文化講座 寿司道のSatomiです。

皆さんは、飲食店で、「お一人様、一人前以上のご注文をお願いします」と言われたことはありますか?
こう言われて、少しモヤッとしたことがある方もいるかもしれません。
あるいは、「食事をしに来たのだから、当たり前では?」と思う方もいるのではないでしょうか。
今回は、寿司屋の注文ルールを入り口に、日本の「お互い様」という考え方と、相手に伝わる伝え方について考えてみたいと思います。

言われなくても、自然に期待されていること

私たちが普段生活している中には、法律や明確なルールに書かれていなくても、「こうするものだよね」と自然に期待されていることがあります。
例えば、飲食店に食事をしに行ったら、一人ひとりが食事を注文する。
もちろん、お店によって注文の仕方は違いますし、複数人で一皿を分け合うことが自然な場合もあります。
必ず一人一人前を注文しなければならない、という話ではありません。
ただ、その場の状況や相手の立場を考えて行動することは、私たちの日常生活の中でも大切にされているのではないでしょうか。
私は、こうした相手への配慮を考えることが、日本の「お互い様」という精神を考える入り口になると思うのです。

「お互い様」は、片方だけが配慮することではない

「お互い様」という言葉があります。
自分だけが相手に何かを求めるのではなく、自分も相手の立場を考える。
相手に配慮してほしいと思うなら、自分も相手に配慮する。
飲食店とお客さんの関係も、同じように考えられるのではないでしょうか。
お客さんだからといって、お金さえ払えば何をしてもいいわけではありません。
一方で、お店だからといって、自分たちの都合だけを一方的に押しつけていいわけでもありません。
お店には、料理を用意し、場所やサービスを提供し、商売を続けていく事情があります。
お客さんには、食事を楽しむ立場があります。
どちらか一方だけが自分の都合を優先するのではなく、お互いが相手の立場を考える。
そこに、「お互い様」という考え方の大切なヒントがあると思います。

なぜ、配慮がルールになるのか?

では、なぜお店は、お客さんに「一人一人前のご注文をお願いします」と、わざわざ伝えなければならないのでしょうか。
もちろん、お店には経営上の事情があります。
席数や営業形態などによって、最低注文数を設ける必要がある場合もあります。
そのルール自体が悪いわけではありません。
ただ、本来はその場にいる人たちが、それぞれ相手の立場を考えて行動できていれば、毎回、入店時に説明しなくても済む場面があるかもしれません。
一方で、相手への配慮が共有されていなければ、お店は自分たちの営業を守るために、ルールを明確に伝える必要が出てきます。
そう考えると、私たちが当たり前だと思っていることも、実は、お互いの理解や配慮によって成り立っているのかもしれません。
もちろん、すべてを暗黙の了解にすればよいわけではありません。
必要なルールを明確にすることも大切です。
ただ、本来、相手への配慮によって成り立つはずの関係が、ルールとして伝えなければ成り立たなくなってしまうとしたら。
それは、少し寂しいことではないでしょうか。

日本人同士でも難しい。では、文化が違う相手には?

こうした相手への配慮は、日本人同士なら自然にできるのでしょうか。
実際には、日本人同士でも、自分の都合を優先して、相手の立場を考えられないことがあります。
同じ文化で育っていても、何が当たり前なのかは、人によって違います。
それなら、文化や習慣の違う外国人のお客さんに対しては、どうでしょうか。
例えば、日本のお寿司屋さんの注文ルールを知らないお客さんがいたとします。
そのとき、「日本のお店なのだから、日本のルールに従ってください」と伝えるだけでよいのでしょうか。
反対に、文化が違うのだから、相手の希望をすべて受け入れるべきなのでしょうか。
私は、どちらか一方だけが正解だとは思いません。
お店には、お店の事情があります。
お客さんには、お客さんの文化や習慣、考え方があります。
だからこそ、相手が何を知っていて、何を知らないのかを考える。
そして、自分たちの考えやルールを、相手が理解できる形で伝える。
相手を理解しようとすることと、自分たちの考えを理解してもらうこと。
その両方が大切なのではないでしょうか。

英語で説明するだけではない。「伝達設計力」とは?

私は、すし文化を入り口に、相手に「伝わる」を設計する力を育てることを大切にしています。
相手は誰なのか。
何を知っているのか。
どんな経験や文化的背景を持っているのか。
そして、こちらの意図を理解してもらうには、どう伝えればよいのか。
こうしたことを考えて、伝え方を設計する。
私は、この力を「伝達設計力」と呼んでいます。
英語で説明できれば、それだけで相手に伝わるとは限りません。
決まりきったマナーを教えるだけでも、十分とは限りません。
例えば、単に「決まりですから」と伝えるのではなく、
「当店は席数が少なく、皆さんにお食事を楽しんでいただくためにお願いしています」
というように、お願いする理由を添える方法もあります。

もちろん、これが唯一の正解というわけではありません。

お店の状況や相手の理解度、伝える目的によって、適切な言葉や伝え方は変わります。
大切なのは、相手の背景を考え、なぜそうするのかという理由も含めて、伝わる形をつくること。
日本の良さを生かしながら、相手にも理解してもらえる対応を考えていきたいですね。

YouTube動画

今回のテーマについて、動画でもお話ししています。

まとめ|相手への配慮と、伝わる伝え方

お店にも、お客さんにも、それぞれの立場があります。
相手に配慮してほしいと思うなら、自分も相手の立場を考えているだろうか。
相手が理解してくれないと思うなら、自分の考えは、相手に伝わる形になっているだろうか。
そんなふうに、一度立ち止まって考えてみることも大切なのではないでしょうか。
皆さんは、入店時に「一人一人前のご注文をお願いします」と言われたら、どう思いますか?
また、文化や習慣の違うお客さんには、どのように伝えるのがよいと思いますか?

ぜひ、コメントで教えてください。


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